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「ゴースト」と「捨てベタ」

私の席は、事務所の入り口で、すぐ傍にはライトテーブルがあります。
現在はライトテーブルとしては使われていないのですが、物を広げたり、ちょっとした作業に使ったり荷物の受け渡しをするためのちょうどいい物置き場としてみんなに愛用されている年季ものです。

ライトテーブル:天板がガラスなどで出来ていて、下から明かりが灯るテーブル。下から光を当て、写真や図面を投影させてトレースしたり、フィルムや校正紙を重ねてずれや違いがないか確認したり、印刷やデザインの現場で活躍したテーブル。今はDTPなどの普及により、使われることはずっと減っていると思います)

ちょっと前のことですが、そのライトテーブルにとても綺麗な色校正紙が広げられていました。
社名は出せませんが、有名な洋酒のブランドのDMとして使われる印刷物だそうです。
デコボコ感のある特殊な紙に、均一にキレイにベタが乗っていてまるで布のような質感が表現されています。
ブランドのマークが浮き出し加工されていて、おしゃれだなあー。

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担当の営業さんが言うには、色にもこだわりのあるお客様で、このカラー見本の一番右と一番左の真ん中くらいの色味にしてほしい、というオーダーだったそうです〜!^^;;;

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印刷の現場は苦労しただろうなあ。

でも、それがちゃんと納得いく色に出ているように思いました。

この綺麗な校正紙、しばらくライトテーブルに広げられていたので、時々眺めていたのですが、ある日通りがかった社長も「綺麗だねー」。
我が社の社長は、長年工場長を務めており、今でも現場に立って物作りをしています。印刷や箔押しについての造詣や愛情はとても私が推し量れるものではないです。そんな社長がそういうんだから、やっぱりこれはいい校正紙なんですね。

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「この色帯がなんのために刷られているか知っている?」

「えっ? CMYKのインクの濃度がちゃんと出ているかチェックしたりとか…?(しどろもどろ)」

「これはね、こういうベタ面と、何も印刷がない真っ白な面がある時に、 ローラーにインキが偏っちゃったりするのを均一にするためにあえて入れているんだよ」

「刷った印刷物のチェックのためじゃなくて、綺麗な印刷をするために前もってやっている事だったのですね〜!!」

検索すると「ゴースト」「捨てベタ」という言葉で色々紹介されています。
和香の新入社員な私ですが、出版デザイン系のお仕事を20年以上やっていて、色校正はたくさん見ていました。当たり前のように入っているトンボの外の情報は、自分の仕事外のパーツとして、あまり気にもとめていなかったのでした。

目に入っていた当たり前のものたちは印刷の長い歴史の中で、現場が工夫して編み出してきた蓄積なんだなあ。

これからもそういう気づきがあったらできるだけ書き留めたいと思います。



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by wakocards | 2017-02-26 11:36 | 印刷のはなし