takeo paper show 2018 「precision」

竹尾のペーパーショーに行ってきました。

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今回のテーマは「precision」精度
と言われてもピンときておりませんでした。
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今回の展示会では,根源的な紙そのもののあり方を見つめ直し,これまでのファインペーパーの枠組みの中だけでなく,多様な紙素材をファインマテリアルへ進化させ,紙の未来を開拓します。
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ウェブサイトに書かれた上記の文言を読んでも???という感じだったのですが、行ってみて、実際に展示を見てみると、だんだんこういうことだったのかな? という思いで反芻しています。


以下、どんな展示だったか書いて見たいと思います。

会場のスパイラルホールに私が訪れたのは6月2日土曜の午後でした。
入り口から会場である3Fまで階段を登っていくのですが、その階段の脇にクラフトペーパーに包まれた紙の束やロールがどーんと積んであります。

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上から戻ってくる人たちが、色とりどりのファインペーパーがいくつも入った透明なバッグを提げています。
何やらビリビリに破いた紙を自分でバッグの中に入れているようで、気になりながらも3Fへ。

ウェブサイトでの事前登録ということで、送られてきたQRコードをスマホに表示させたりあらかじめプリントしておいたりして入場。

入場してすぐ、展示会場に入る前のスペースにも階段の続きのようにクラフトに包まれた紙が積み上げられていて、オブジェのように陳列してあります。

入場者も多いのでとりあえずその場を通過して、展示のパンフレットを受け取り奥の会場入り口へ。
中は照明を落としてあって、暗い中、とにかく人が多かったです。
あまりゆっくり見られないなーというのが率直な印象でした。

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9つの細長いテーブルが会場に置かれ、その上に今回の展示物がそれぞれに展示されていました。
1つのテーブルに1人ずつ竹尾のスタッフの方がおられて、展示の説明をしてくださいました。
人が切れたところを見計らって隙間に入り込む作戦。
テーブルの端にこの展示の説明が書いた紙が貼ってあるのですが、人が多くてそれを読むのは難しいと判断し、スタッフの方のお話を聞いて、質問しながら拝見しました。

あとでパンフレットと照らし合わせて、どのクリエイターさんのお仕事だったのか確認しましたので合わせてご紹介します。


葛西薫「闇に溶ける紫[色紙]
闇夜をイメージした色の紙を作るために赤みを感じる紫から紺色までのグラデーションからさらに彩度濃度を調整し、深い闇色を作っていき、これだ、という色まで整えて作り上げたファインペーパーだそうです。さらにそれを使って黒船のようなオブジェが展示されていました。
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原田祐馬「記憶の肌理」[厚紙]
テーブルにミキサーのようなものが置かれていました。
そして竹尾のスタッフさんの手にはちょっと変わった形や風合いを持った厚紙。
展示物はさわれないので、スタッフさんの持っている紙をみんなが触らせてもらいます。
「これは廃盤になった紙をあらためて別の表情に作り直したものなんです」
何と混ざってこうなったのかは聞きそびれましたが、硬質な厚紙になっていてペーパーナイフとしても使えるものだそうです。
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田中義久「土紙」[和紙]
こちらは世界の土地の土を混ぜ込んで、手漉き和紙を作るように色や模様を作り出したその土地オリジナルの紙だそうです。
同じものは2度と作れないだけに一枚、一枚、存在感を感じました。
ごわごわしてるように見えて、結構柔らかい仕上がりでした。
展示の最後に動画が上映されているコーナーがあったのですが、手漉き和紙の職人さんが土を流し込んで作っている様子が映し出されているのを見ることができました。
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DRILL DESIGN「ハレの段ボール, その成形」[段ボール]
普段目にするダンボールのウネの大きさの2倍はある大きなウネの部分に鮮やかなカラーリングされていて楽しい素材になっています。梱包材など、一部にしか使われていないこの大きなウネのダンボールをデザインしたものだそうです。見た目パッと明るいダンボールです。
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三澤 遥「動紙」[機能紙]
小さい子供も来場していて、ずーっと見飽きずに見ていたのがここです。
フェライト粉という、砂鉄みたいな粉を紙に混ぜ込んだ紙の展示です。
テーブルの下に仕掛けがあって、モーターで磁石を動かしているそうです。
それに合わせて、テーブルの上の細かな紙がざわざわ動くのです。

これまでの紙の枠組みというものから自由になってきているのを感じますね。


永原康史「情報の風合い プロトタイプ」[情報の紙]
何が展示されているのか、最初はわからなかったのですが、白い紙にはデコボコとした模様が浮き上がっています。
「エンボス加工じゃないんですか?」と聞くと
「あらかじめ紙にマイクロフィルムが仕込まれていて、プリンタを通す時に電磁波で情報を伝達し、その情報が浮き上がるようになっているので押し型は使わないのです」とのこと。
衛星から出される電子波でしたかね? 宇宙の紙だ、と感じた記憶が。(曖昧ですみません)
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安東陽子「紙と布の協働、あいまいな関係」[紙布]
糸のようなものは実は紙だそうです。
縫い物だけでなく編んでニットのようなものも。
水に濡らしても破れないんですって。
手触りは麻のニットのようにシャワシャワしていて涼しそうでした。
「元々は植物」と考えると納得です。
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藤城成貴「mix」[モールド]
カラフルな器が目に入りました。これはよく知っている質感。
卵のパックの素材です。
「モールド」を調べると、型や鋳型、またはそうした鋳型に入れて作ったもののこと。とあります。
普段はグレーだったり地味な素材を綺麗な色にしたりマーブル模様にしたり。
「作る過程が楽しかったですよ」と竹尾のスタッフさん。
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原 研哉「チョコレートの帽子-2」-穴あきの紙[半透明の紙]
特殊な半透明の紙に、細かくレーザーで円を抜いた繊細な紙。
開けすぎるとフニャフニャになってしまいそうなものですが、ちゃんと紙であることを保っていて、その計算やバランスや円の大きさなど、「precision/精度」を一番感じた作品かもしれません。
チョコレートを乗せた作品も飾り紙として美味しそうなイメージになっています。
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確かに、ファインペーパーと呼べないくらいの素材が作られた展示だったのですね。
最後の穴あけが一番精度を感じたと書きましたが、ここに展示されるまでの調合などの苦労はどの作品も精度を高めて詰めにつめた結晶なのかもしれません。
残念ながら時間がなくて「土紙」以外の動画は見ていません。
動画を見ればもっとそれぞれに理解が深まったんだろうなあ。


見終わって外に出ると、最初に通過した、クラフトに包まれた積んである紙のオブジェ。
あらためて見ると、会場内で見た作品たちの用紙がそのまま積み上げられているのだとわかりました。

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これは土紙。

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こっちは砂鉄入りの紙。

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これは見てすぐわかるダンボール。

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闇色の紙。

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カラフルなモールド。

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マイロフィルムが仕込んである紙は光に弱そうなので銀のパックに入っているんですね。

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紙のニットだ。
そうだったのか! 
入場するときには気がつかなかった。
このスペースも展示内容の導入として意味を持っていたんだなあー。
なんかワクワクしちゃうな。


さらに展示会場を抜け、出口で気になっていた透明なバッグ(すでに色とりどりの紙がいくつか入っている)を受け取って階段を下ります。

おっ?
建物に施された今回のテーマの文字もダンボールだぞ。

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わー、みんな破ってる、破ってる。
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一人3種類までという話なのだが、みんなわかっているのか?
スタードリームとか、ミランダとかお高い紙もあるぞー。ビリビリ。

あらかじめ破られているものもあるので、いそいそと透明バッグの中へ。
お土産もらって最後まで楽しかったです!
見に行けてよかった。

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竹尾さん、次のペーパーショーも楽しみにしています\(^w^)/




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by wakocards | 2018-06-05 00:25 | 紙のはなし | Comments(0)